最強レベルの減量効果!ケトジェニックダイエットを基本から解説
昨年アメリカでブームとなったケトジェニックダイエットをご存知でしょうか?
ハル・ベリーやコートニー・カーダシアン、アリシア・ヴィキャンデルといったセレブ達が実践し、短期間での減量や食欲の抑制ができるということから、日本国内でも瞬く間に有名になったダイエット法の一つです。
とは言え、名前は聞いたことあるけど中身が正確に把握できていないという人や、興味はあるけどやり方がイマイチわからないという人もまだまだ多いのではないでしょうか。
今回はそんな人のために、ケトジェニックダイエットについての簡単な解説をしていきたいと思います。
ケトジェニックダイエットとは
通常、私たちの身体は炭水化物(糖質)を主なエネルギー源としていますが、これが枯渇すると脂肪を分解して作り出したケトン体を代わりのエネルギー源として利用する「ケトーシス」という状態に切り替わります。
ケトジェニックダイエットとは、このケトーシスを「低炭水化物・高脂質な食事」によって作り出し、脂肪を積極的に代謝させるというダイエット法です。
元々は1920年代のアメリカで小児てんかんの患者用に考案された食事療法で、こちらはPFC(タンパク質・脂質・炭水化物)バランスが【タンパク質8%・脂質90%・炭水化物2%】くらいの割合になるように食事をとることが推奨されています。
※ わが国の厚生労働省が示す生活習慣病予防・改善のためのPFCバランスは【タンパク質13〜20%・脂質20〜30%・炭水化物50〜65%】
ケトジェニックダイエットの基本
食事の基本ルール
ケトジェニックダイエットには、以下のような基本ルールがあります。
① 糖質は 1日に10g〜20g
ご飯やパンなどの糖質の多いものは基本的に口にしません。
② 食物繊維は 1日に20g以上
野菜や茸、海藻類などから摂取します。ただし糖質の多い芋類は除外。根菜類は控えめに。
③ タンパク質は 1日に体重1kgに対して×1g〜1.5g
乳製品や卵、肉、魚などから適度に摂取します。
④ 脂質は 1日に体重1kgに対して×2g〜2.5g
飽和脂肪酸(バターなど)より不飽和脂肪酸(オリーブオイルなど)を多めに。
⑤ 水分は 多め
主食を口にしない分、水分が不足します。こまめに補給を。
食事例
これらの基本ルールを踏まえて1食の例を挙げるとこんな感じです。
・野菜 150g(レタス、トマト、かいわれ大根)
・レモン 1/4個
・ゆで卵 2個
・亜麻仁油 大さじ2杯
1日10g〜20gの糖質ってどのくらい?
これは一般的な茶碗1杯のご飯が約150gだとして、そのうち約60gが糖質ですから、白米のご飯で例えると1口〜2口程度。
ただ実際は、栄養バランス的に肉や野菜なども食べねばならず、その際それらからも少量の糖質がとれてしまうので、そうなるとご飯は基本的に1口も食べれません。
それほどシビアな糖質制限がケトジェニックダイエットです。
プロテインは飲んでも大丈夫?
特にトレーニングをしながらケトジェニックダイエットを行う人達にとって、意外と落とし穴になるのがプロテインの存在です。
タンパク質を適度に摂取しながら行うのも基本ではありますが、まず一般的なホエイプロテインを1杯飲むだけでも軽く5gの糖質は付いてきます。さらにタンパク質そのものもケトジェニック中は糖質に変えられてしまうので、タンパク質の摂り過ぎがそのまま糖質の摂り過ぎに直結してしまいます。
ここはやや難しい話になってしまうのですが、重要なポイントなのでもう少し詳しく説明します。
ケトジェニックダイエットのような極端な糖質制限を行うと、私たちの体の中では、足らない糖質を確保するために糖新生が起こります。
糖新生とは、糖質以外の物質から糖質(グルコース)を生成する過程のことで、タンパク質からは「糖原性アミノ酸」と呼ばれるアミノ酸がこの対象となり糖質が生成されます。
糖質制限しているのに痩せられないというケースでは、けっこうな割合でこの糖新生が原因だったりするのです。
しかし、タンパク質を構成するアミノ酸のほとんどはこの糖原性アミノ酸である一方、実は糖新生されないアミノ酸というのもわずかながら存在します。
それが「ケト原性アミノ酸」。具体的にはロイシンとリジンのことです。
名前からして予想できてしまうと思いますが、糖質制限下でケト原性アミノ酸から生成されるのは糖質ではなくケトン体です。
つまり、ケトジェニック中に最適なサプリメントはプロテインではなくBCAA。
そもそも糖質制限は筋肉を増やすには全くもって向かないので、ケトン体を増やせるロイシンをメインに摂取できるBCAAを利用して、少しでも筋肉の分解を阻止することの方が重要になります。
ケトン体が出ているかどうかを調べるのは簡単
ケトジェニックダイエットを始めてからしばらくの間は、ケトン体が尿中に現れます。
ケトーシスが長く続くと徐々に尿中には現れなくなりますが、そもそもケトジェニックダイエットは長期に渡って行うものではないので、ケトン体が出ているか(=糖質制限ができているか)どうかは市販の試験紙で簡単に調べられる尿検査が適しています。
だけど続けるのは簡単ではない
ここまで読んでいただけければ分かると思いますし、実際に行ってみるとさらに分かると思いますが、ケトジェニックダイエットは大幅な減量が可能な反面、その食生活の維持が難しいダイエット法です。
少なくとも「栄養と医学についての正しい知識」がなければ危険ですし、仮に万全の態勢で行ったとしてもケトーシスの初期段階では、ケトフルという倦怠感やめまい、頭痛、吐き気、集中力の欠如、筋肉の痙攣などの不快な症状がほぼ確実に現れ、さらには強烈な空腹感にも襲われることになるので、それを乗り越えられる「強いメンタル」がなければ続けられません。
また、腎臓や肝臓、心臓に疾患のある人や糖尿病の人にとっては、特にリスクの高いダイエット法となるので注意が必要です。そのような人がこのダイエットを行う場合は、必ず医師に相談の上で行ってください。