飲むだけで腹筋が割れる!?話題のサプリメントHMBとは
最近、インターネット広告を中心にHMBというサプリメントをよく見かけるようになりました。
多くが広告写真にシックスパック(腹筋)が強調されたマッチョな男性を使っていたり、有名な俳優やボディコンテストの公認商品であることを謳っていたりと非常に魅力的な商品に見えますが、かえってそこにインターネット広告特有の胡散臭さを感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、HMBとは一体何なのか、本当にボディメイクに効果のあるものなのかということについてお話していきます。
HMBとは
HMBとは『3-Hydroxy 3-MethylButyrate(3-ヒドロキシ 3-メチル酪酸)』の略称で、必須アミノ酸ロイシンの代謝産物の一つです。ロイシンが体内で代謝される際、その約5%がHMBに変化します。
HMBの主な効果
HMBがボディメイクに影響を及ぼす主な効果は以下の2つです。
筋タンパク質の分解抑制
HMBはユビキチン-プロテアソーム経路というタンパク質の分解に関わる経路に介入し、これを阻害することでタンパク質の分解を抑制することが確認されています。
簡単に言うと、筋肉量の減少を防ぐのに役立ちます。
筋タンパク質の合成促進
HMBはmTORというタンパク質の合成に関わるシグナル伝達物質を活性化させることで筋タンパク質の合成を促進することが確認されています。
こちらも簡単に言うと、筋肉量を増やすのに役立ちます。
HMBの摂取量とタイミングの目安
HMBの1回の摂取量の目安は、約3gとされています。
摂取タイミングは、摂取後1〜2時間で血中濃度がピークになることからトレーニングの45分〜60分前、またはアミノ酸の不足しやすい起床時(午前中)などがおすすめです。
HMBで誰でも筋肉がつくのか?
HMBは、1996年にアイオワ州立大学のスティーブン.L.ニッセンらによって「HMBはトレーニングによる筋肥大と筋力向上に最大貢献する」と世界で初めてその有効性が発表されて以来、実に数多くの研究や実験結果が報告されてきました。
筋肉の合成に関しては、よくある動物実験ではなく人体を用いた実験が行われており、割としっかりした科学的根拠が示されていますが、対象者のほとんどが “運動習慣のない健常者” であるということには注意が必要です。
実は、スポーツ選手や習慣的にトレーニングをしている人に対しての実験は少なく、稀に行われるその実験結果の中には効果の認められなかった例もあるくらいなのです。
つまり、運動初心者には有効であっても、普段から身体を鍛えているトレーニーに有効だという科学的な根拠は乏しいのが現状です。
この理由は定かではありませんが、そもそもトレーニングをしていなかった人がトレーニングをしてロイシンの代謝産物を摂取すれば筋肉量が増えるのは当然ですし、一方でトレーニングをしている人ではタンパク質(ロイシン)を普段から意識的に摂取している人が多いため、それとの有意な差が認められなかったのではないかという専門家の意見もあります。
この辺りは今後の研究に注目したいところですね。
さいごに
HMBとは、ざっくり言ってしまえば
「プロテインの中の > アミノ酸の中の > ロイシンの一部から生まれるのが > HMB」
という位置づけのものなので、速やかに筋肉の合成を促したい、余分なカロリーを抑えつつ筋肉は維持したいといった場合には、プロテインやEAA、BCAAなどのサプリメントよりも有効と言えるのは確かです。
ただし、HMBは筋肉の材料としてはプロテインやEAAに大きく劣りますし、そもそもニッセンらの言う通り「トレーニングの効果に貢献する」ものなので、運動も何もしないでHMBだけ飲んでいれば広告のようなマッチョな身体になれるなんてことはあり得ません。
やはり、ボディメイクの基本はバランスの取れた食事と日頃のトレーニングです。
HMBはそこにプラスアルファで投入する筋肉づくりの起爆剤として利用しましょう。